セリエA第33節 モンツァvsASローマ -343ミラーのプレッシングゲーム-

 

2023年5月3日

セリエA第33節

モンツァvsASローマ

監督:パッラディーノ モウリーニョ

 

モンツァ

343

       モタ

 カプラーリ       コルパーニ

Cアウグスト ロヴェッラ ペッシーナ チュリーア

   カルディローラ マリ イッツォ

      ディグレゴーリオ

 

ローマ

343

      エイブラハム

 エルシャーラウィ     ソルバッケン

ザレフスキ ペッレグリーニ ボヴェ チェリク

   イバニェス クリスタンテ マンチーニ

       パトリシオ

 

スモーリングジョレンテ、スピナッツォーラ、ワイナルドゥム、ディバラ、ベロッティがベンチ。マティッチはベンチ外(サスペンション)。

 

メンバーは置いておいて、エルシャーラウィ入りの343、しかもクリスタンテがCB(ボランチにいない)と、期待できる。本当は352のほうが良いが。

 

マティッチが出場停止でいなく、スモーリング、ディバラがまだ出れる状態ではないなら、エイブラハムのところをベロッティ、ザレフスキのところをスピナッツォーラにしたら良いメンバー(343なら)。久しぶりにモウリーニョが機能しそうな戦術を使用してくれている。

何よりクリスタンテがCBなことと、ペッレグリーニが前線ではないことが良い。今シーズンも終盤になって、その二人のことを少しは学習してくれたのかもしれないが、ただのベンチ事情だと思われる。

 

【0~15分】

 

開始40秒、チェリクのパスミスからモタがいきなりチャンスを迎えるが、パトリシオがスーパーセーブ。

 

ローマはハイラインハイプレスでポゼッション。

 

モンツァはミドルブロック&プレスでポゼッション。

 

343のミラーゲームでローマがハイラインハイプレスを仕掛けるなら、地力で勝るローマが勝ちそうだが、ローマのメンバーも中々苦しい。

モンツァは今までもミラーゲームでハイラインハイプレスを仕掛けられて完全にやられていることがある。

 

パッラディーノ監督は、トリノのユリッチ監督と同じく、アタランタガスペリーニ監督の愛弟子なので、ガスペリーニの十八番の343の系譜を継いでおり、343でピッチをワイドに使い、全員を押し上げて、サイドの数的有利を活かしながら人数をかけて運び、前線では裏抜けや流動的な動きで相手を崩していく、ポゼッションで戦う攻撃的な戦術。

ガスペリーニは、なぜか今は自分の十八番を捨ててしまっているが・・・)

 

そのため、同じ343でマンマーク気味に格上のローマにミラーゲームを仕掛けられると厳しいものがある。モウリーニョだから狙って343でミラーゲームにしているだろう。

 

同じ343でハイラインハイプレスで来られると、ハイラインハイプレスを仕掛けられたほうのチームは非常に厳しい。

 

狙い通り、ローマのミラーのハイラインハイプレスは嵌り、モンツァは上手く繋げない。

 

ローマは中盤で刈り取り、何度もチャンスを作る。

 

パッラディーノも、トリノのユリッチも、昔のガスペリーニ(ユリッチやパッラディーノがジェノアにいた時)もそうだが、どんな相手にも同じ戦術を取る、嵌っていてもポゼッションで崩そうとする、攻撃的に行くため、ビッグクラブや、対策を完璧にしているチームはやり易い。

 

ただし、ビッグクラブならそれ(どんな相手でも、自分たちがどんなスカッドでも同じ戦術を使い続ける、やり続ける)は駄目だが、プロヴィンチャなら一つの有効なやり方で、リーグ戦は勝ち点3を取る戦いなので、ひたすら自分の得意な戦術をチームに浸透させて、毎試合攻撃的に行くことは悪いことではなく、むしろ良いことで、ガスペリーニもユリッチもパッラディーノも、それでプロヴィンチャで成功している。

 

プロヴィンチャなら毎試合勝つ必要はなく、定期的に勝ち点3が取れれば良いので、自分たちの得意な、やり慣れている攻撃的な戦術をやり続けることは、むしろ良いことである。

 

ビッグクラブの監督は、所属している選手の特徴を最大限に活かす戦術を取ることが求められるが、プロヴィンチャなら彼らのやり方は有りである。

 

代表的なのは、ガスペッリーニやユリッチやパッラディーノ、一昔前ならゼーマンデル・ネーリ、(攻撃的ではないが)ラニエリ等だろう。

 

勿論、所属している選手の特徴を最大限に活かす戦術を取ることができる監督が一番良いのだが、中途半端で攻撃が機能していない監督よりは全然良い。

その証拠に、彼らはプロヴィンチャで成功を収めているが、ビッグクラブでは全く通用しなかった。

 

【15~30分】

 

試合は、モンツァは一度ボールを運べて押し込めれば良いポゼッションをしているが、前でハイラインハイプレスで嵌められている時はかなり苦しい。

守備戦術のスペシャリストのモウリーニョ相手に、「バカの一つ覚え」は中々厳しいものがある。ただ、中々良いポゼッションはしているので、ノーチャンスではない。

 

ローマは、攻撃面でもいつもの最悪なメンバー選考ではないため、機能している。

ボヴェとペッレグリーニのダブルボランチは良く、クリスタンテがボランチにいる、ペッレグリーニがトップ下にいる機能するわけもないいつもの布陣とは全く機能性が違う。

 

ただし、ボヴェとペッレグリーニの二人はあまりにも攻撃的すぎるので、他の試合ならマティッチがいたほうが良いし、守備面も考えたら352が一番良い。

 

また、ベロッティ、スピナッツォーラ、ディバラがいないことによる、単純なクオリティー不足は否めない。

 

ローマが優勢に試合を進める。

完全に、マンマークでハイラインハイプレスでミラーゲームを徹底している。

流石はモウリーニョといったところで、戦術の研究が素晴らしい。

これはモンツァは中々厳しい。

 

ただし、ローマもいつものブロック守備とは異なり、かなり前からプレスをしているため、プレスの網をくぐられるとチャンスは作られるため、早めに得点が欲しいところ。

 

23分、徹底したハイラインハイプレスで相手エリア内で奪い、エルシャーラウィが決める。1-0

 

ローマは完全にプラン通り。

モンツァはこれをやられるとかなり厳しいチーム。

 

この試合のモウリーニョの戦術は素晴らしいが、ローマでのモウリーニョは相手によって毎回戦術を変えており、それはそれで守備面は素晴らしいのだが、それで攻撃を犠牲にしてしまっているのが大変残念なところ。

 

毎回相手によってメンバーもフォーメーションも戦術もガラリと変えるというのは、かつてはグイドリンくらいであり、凄いことなのだが、今のモウリーニョは、攻撃を犠牲にしてしまっている。あくまで戦術は攻撃も守備も機能させるのが前提なので、攻撃を犠牲にするのは決して違う。

攻撃を機能させることは前提としての、守備戦術である。

 

毎試合戦術を変えるのは構わないが、せめてメンバーを一人二人変える、ミドルブロックかハイラインハイプレスか、早い攻撃をするのか、ポゼッションで押し込むのか、カウンターをメインにするのか、くらいの変更で、機能するメンバー自体はそこまで変えないのが通常であるし、そのほうが機能する。今のモウリーニョはやりすぎで、機能しない試合はとことん機能していなく、機能していない試合の方が多い。

 

【30~45分】

 

ローマはリードしてもやり方は変えず、ハイラインハイプレスを続ける。良い判断。

352に変えて守備を強固にしてカウンターで沈めるのがベストだろうが、343のままなら、このままハイラインハイプレスを続けた方が良いだろう。

 

ペッレグリーニのセットプレーのキックがこの試合も尋常ではなく素晴らしく、既に4度はセットプレーからローマに決定機があるが、ディグレゴーリオが凌ぐ。

 

モンツァが前がかりになっているため、モンツァが攻め立てるシーンが増えるが、ローマはその分カウンターが増えている。

 

ローマは343であること、ハイラインハイプレスであること、ダブルボランチが、「ボランチとしては」守備能力が高くないペッレグリーニとボヴェということで、モンツァの攻撃に対してかなり危なくなってきている。

 

39分、遠めのFKからカルディローラが素晴らしいボレーでゴールを決める。1-1

ローマはここ数試合で、圧倒的な高さと強さを誇るスモーリングがいないことがまずまず響いている。

 

モンツァは、ロングキックをする時は必ずクリスタンテかイバニェスのところを徹底的に狙っている。スモーリングなら余裕をもって弾けるところを、相手ボールになってしまったりしている。

 

前半終了1-1

 

モンツァはこれしかやることがないため、変える必要はない。悪くはない。

 

ローマもこのままでも良いが、前で奪いきれなかった時に、スモーリング不在、ダブルボランチとザレフスキの守備が相当怪しいということで、守備面が非常に怪しいが、343でハイラインハイプレス、攻撃的な守備戦術、メンバーを取っているということで、いつもの全く機能していない3412よりは断然良い。

 

変えるなら、ソルバッケン→ディバラ、エイブラハム→ベロッティ、ザレフスキ→スピナッツォーラで、戦術は変えず。

得点を奪ったら352に変えるというのがベストか。

 

【45~60分】

 

コルパーニ→ビリンデッリ

 

カウンターからのCアウグストの素晴らしいミドルシュートは、パトリシオが素晴らしいセーブ。

 

毎試合のことだが、ザレフスキの守備がかなりまずい。

 

両チームともやり方はほぼ変えていないが、ローマが大分プレスに疲れてきたこと、モンツァがローマのプレスのいなし方に慣れてきたこと、ローマが押し込まれる時間も増えて、あまり前からプレスに行けなくなったというのもあり、モンツァもかなり攻め込めるようになる。

 

ほぼ互角の試合展開。

こうなってしまっては、ローマは早くこのやり方に見切りをつけたほうが良い。ベストは352。

 

ザレフスキ→スピナッツォーラ

当然の交代。

ソルバッケン→カマラ

ディバラでもワイナルドゥムでもない・・・

まだディバラは出れる状態ではないのか?

 

カマラをボランチにして、ペッレグリーニを左WGに。ソルバッケンは疲労もきていたし、良くもなかったので、変えるべきではあったが、ベストチョイスではない。

しかし、現状よりは、攻撃面を考えても守備面を考えても良くはなると思われる。

 

ディバラ、マティッチ、スモーリングが出場できないのは非常に痛い。

 

【60~75分】

 

ロヴェッラ→マチン

カプラーリ→ヴァローティ

 

ローマは疲労の見えたソルバッケンと守備の大きな穴だったザレフスキを変えることによって、再びプレスが機能し始める。ローマが押し込む。

 

エルシャーラウィ→ヴォルパート

疲労困憊のため。ヴォルパートが出てくるということは、ディバラは無理ということか・・・

ベロッティで良いと思うが。

 

ローマが押し込むが、ベロッティもディバラもエルシャーラウィもいない、エイブラハム、ペッレグリーニ、ヴォルパートの3トップではクオリティ不足が酷い。

カマラのボランチも良くない。

 

【75~90分】

 

ボヴェ→タヒロヴィッチ

疲労困憊のため。

 

ローマはほぼ試合に出ていない選手がピッチにひしめく悲惨なベンチ事情。19歳や20歳の選手を次々とピッチに送り込まなければいけない。

 

カルディローラ→マルロン

足をつったため。

 

モタ→ギトケアー

 

ローマが変わらず押し込む。

 

ローマのクロスからのヘッドはディグレゴーリオがスーパーセーブで立ちはだかる。

 

ローマは押し込むが、違いを作れる選手がWBのスピナッツォーラのみという悲惨な状況。

 

チェリクが2枚目のイエローで退場。

 

試合終了。1-1

 

ローマにとっては手痛い、勿体ない引き分け。

戦術的にも、メンバー的にも、チャンスの数的にも申し分なかったが、ディグレゴーリオがスーパーセーブを連発していたことや(失点もディグレゴーリオのミスだが)、決めきれなかったこと、また、ベンチの台所事情もかなり悲惨だった。

 

スピナッツォーラやベロッティをスタートから使っていたら結果は違っただろうが、過密日程とベンチ事情が悲惨なことも考えればある程度致し方ないか。

 

モウリーニョ 6.0 戦術は良かったが、メンバー選考、選手交代が少し残念ではあった。ただし、ベンチ事情を考えたらある程度致し方ない。可能性のない3412で惨敗するよりは断然マシ。

エイブラハム 5.5 クオリティ不足がまずまず目立ってしまっていた

エルシャーラウィ 7.5 推進力と動き出しで活躍

ソルバッケン 5.5 すぐにパスを叩くタイプなので、ボールに絡むタイプではないエイブラハムと組んでも相性は良くない

ザレフスキ 5.0 流石に守備が酷すぎたし、攻撃面でも貢献できず

ペッレグリーニ 6.0 攻撃面は良かった。守備面は、奮闘はしていたがだいぶ怪しかった。インサイドハーフが本職の選手だから仕方ない

ボヴェ 6.0 攻撃面は良かった。守備面は、奮闘はしていたがだいぶ怪しかった。インサイドハーフが本職の選手だから仕方ない

チェリク 6.0 最後の退場は余計だったが、ハードワークして頑張っていた

イバニェス 5.5 ハードマークで前に積極的に潰しに行っていたのは良かった。ただし、ザレフスキが前にいたことは同情するが、安定感には欠けた。

クリスタンテ 6.0 スモーリングと比べたら大分物足りないが、安定していた

マンチーニ 6.5 そこそこ良かった

パトリシオ 7.5 モンツァのディグレゴーリオも素晴らしい活躍だったが、負けじとパトリシオも良いセーブをしていた。

 

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