【カルチョ総括】ボローニャFC -ガスペリーニの愛弟子の真価-

 

チーム名:ボローニャFC

監督:シニシャ・ミハイロヴィッチ (〜5節)⇒チアゴ・モッタ (6節〜)

順位:9位

勝点:54

得点:53

失点:49

総合:★★★★★☆☆☆☆☆

監督:★★★★★★★★☆☆

戦術:★★★★★★★☆☆☆

組織:★★★★★★★★☆☆

戦力:★★★★★☆☆☆☆☆

攻撃:★★★★★★☆☆☆☆

守備:★★★★★★☆☆☆☆

主な活躍選手:オルソリーニ、バロウ、ドミンゲス、スハウテン、ポッシュ、スコルプスキ

 

総括:

 シーズン序盤にミハイロヴィッチ監督からモッタ監督に交代。序盤・中盤は苦しんだが、モッタ監督のサッカーが浸透し、メンバーや戦術も固まってくると、大きく躍進し、最終的には9位につけた。

 アルナウトヴィッチ(背の高い典型的なポストプレーヤー)をワントップにしていた序盤・中盤戦は悪い意味でスタンダードな4231の何の変哲もない残留争いをする典型的なプロヴィンチャ(中小クラブ)のサッカーだったが、1月からアルナウトヴィッチが離脱し、代わりにバロウやサンソーネ等のテクニック・スピード・個人技のある選手をワントップ(0トップ)に据えると、快進撃を見せた。

 モッタ監督はポゼッションサッカーを志向し、後ろから丁寧に組み立て、流動的かつ前線の個人技で攻め立てる良い戦術を使っていた。そのため、ワントップはアルナウトヴィッチではなく、当然バロウやサンソーネの方が良いサッカーができる。

 特にバロウ、オルソリーニの個人技は強力で、中盤のファーガソン、スハウテン、ドミンゲスもテクニックや流動性がまずまずで、守備もしっかりと組織だって安定しており、良いチームであった。アルナウトヴィッチの離脱が逆に功を奏した形ではあるが、しっかりバロウをワントップにしている時は非常に良く、モッタ監督が非常に良い仕事をしたと言える。

 メンバーがどうしてもそこまで強くないというのは仕方ないが、それでもしっかりと流動性のあるポゼッションサッカーを成立させた手腕は見事であった。逆に言えば、よくこのメンバーでどのチーム相手にもポゼッションを試みた、成立させた、というモッタ監督の手腕が確認できる。それはどうなのかというメンバーを組んでいたり、戦術的にどうなのかという試合も多々あったので、現時点では最高とは言えないが、今後に期待できる監督ではある。来シーズンもモッタ監督が続投し、メンバーもそこまで変わらないなら残留は固いが、バロウやオルソリーニが引き抜かれると厳しくなる。

 

 トリノのユリッチ監督、モンツァのパッラディーノ監督、ボローニャのモッタ監督という、アタランタガスペリーニ監督が当時のジェノアにおいて、343の流動的で非常に機能的な超攻撃的サッカーをしていた時期の愛弟子がセリエAで監督として活躍しているのは感慨深いものがあり、当時のジェノアがいかに戦術的で機能的で良かったかが分かる(来シーズンからジラルディーノも。ただしジラルディーノに愛弟子感はない)。当時のジェノアはオーナーの毎年のような選手総交代がなければもっと躍進していたであろう、というくらいには良かった。また、上記3人は全員頭の良い選手であったので、ガスペリーニのガチガチの戦術を理解した、体現した本当に愛弟子という感じであり、良い監督になれるのも納得である。3人ともガスペリーニと同じで、とにかく走る流動的なポゼッションサッカーを駆使し、良いサッカーをしている、有望な若い監督である(モッタ以外はガスペリーニの代名詞の343でほぼ同じ戦術を使用)。

 ガスペリーニはガチガチの戦術で固めてはいるが、自分の戦術を押し付けるのではなく、選手の個性、良さを活かした上で戦術に当てはめているので、選手が本当に良く育つ、成長する(最近のアタランタでの失態は除く)。戦術で選手を大いに活かすことが本当に上手いので、そこまででもない選手もガスペリーニの手にかかれば化けるし、「選手再生工場」の異名のとおり、不振に陥った選手も難なく再生させられる。ガスペリーニの手によってリーグトップクラス、世界的な選手になった選手を挙げると枚挙に暇がない。

 セリエA20チームの内、ガスペリーニ・ファミリーが5人もいるというのは非常に凄いことであり、モッタ監督にもこのまま頑張ってほしいところである。若く、現時点でも良いユリッチ、パッラディーノ、モッタの3監督には今後も期待が大きい。

 

※ここでいう流動的とは、一般的な流動的とは少し異なる意味合いで使用している。ガスペリーニの戦術は流動的というよりは、スペースにスペースに、前に前に良く走るという方が近い。物凄い流動的というわけではないが、流動的ではあるし、文章が長くなるので流動的とした。

 

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