コッパ・イタリア1回戦 フロジノーネvsピサ -戦術に縛られた選手達-

フロジノーネ 監督 ディ・フランチェスコ

2023年8月12日

コッパ・イタリア1回戦

フロジノーネvsピサ

監督:ディ・フランチェスコ アクィラーニ

 

フロジノーネ

433

     ボレッリ

カーゾ          バエス

   ハルイ    ジェッリ

     マッツィテッリ

マルキッツァ ロマニョーリ モンテリージ オヨノ

      トゥラーティ

 

昨シーズンセリエBで11位だったピサと、1位でセリエAに昇格したフロジノーネの対戦。

 

フロジノーネは2015-2016にクラブ史上初のセリエAで戦い、その後2018-2019をセリエAで戦ったが、いずれも1年で降格。

 

昨シーズンはファビオ・グロッソ監督が率いてセリエBで1位となったが、グロッソは辞任。今シーズンはサッスオーロやローマ等の監督をしていたディ・フランチェスコ監督が率いる。

 

レッチェCBのシモーネ・ロマニョーリサッスオーロ左SBのマルキッツァ、サッスオーロCHのハルイ等を獲得しているが、いずれも元チームの控え選手であり、積極的な補強はそこまでできていない。

むしろレンタルバックや移籍で、昨シーズンの主力がまずまず抜けている感もあるが・・・

 

【0~15分】

 

フロジノーネはハイラインハイプレスでポゼッション。

スタンダードな433。

 

ピサは、守備時は4312でハイラインハイプレス、攻撃時はSBをボランチと極端に中央で並べて2413のような形でポゼッション。守備も攻撃もかなり奇抜。攻撃は他国で見たことあるようなやり方だが、そこまで良いとは思えないが・・・

奇抜だから良いわけではなく、特に守備は酷い。

 

わざわざ4312の形でハイプレスを仕掛ける意味が分からないし(中央を固めてプレスして相手の中盤を潰したいのだろうが)、プレスで中盤が前に行きすぎな上に、DFラインは高くないので、後ろのスペースの空き具合が酷すぎる。CBが完全に晒されている。

 

ピサが全く良くないというのもあるが、フロジノーネが圧倒。

 

ボレッリの決定機のシュートは相手GKがセーブ。

 

7分、その空きすぎているスペースを使って、カーゾがDFラインの裏に抜け出し、速いクロスをオウンゴール。1-0

 

ピサ、アクィラーニ監督のこの守備は酷すぎる。

 

フロジノーネの3トップに対して、常にDFライン4枚が晒され続けているので、これでどうやって守るのか。中盤の援護守備は一切ないので、フロジノーネは前線に早めにアバウトにボールを入れているだけでもどんどん崩せる。この守備はあまりにもお粗末すぎる。

 

フロジノーネがどれくらいやれるのか見たかったのだが、相手がこれでは何の参考にもならない。

 

【15~30分】

 

また、ピサのこの攻撃時の2413は、極端に中央に4枚(もしくは片側のSBで3枚)ダブルボランチとSBを固めて、WGへのパスコースを空けて、WGをアイソレーションして、CBからWGにボールを預けて~という戦術だと思われるが、全く良くない。

 

「中央さえ使われなければ良い攻撃はできない」のが基本なので、この攻撃はむしろありがたい。

WGに出たところを、前を向かせずに中央へのパスだけ警戒して、サイドで追い込めば良いだけなので、守備が非常に楽。また、これをやってしまうと攻撃が単調極まりなくなるので、守るのは本当に楽。

 

サイド攻撃をするなら中央を使ってからであり、最初からサイド一辺倒の攻撃では良い攻撃はできない。

 

スペースというのは、まず中央に作るから意味があるのであって、最初からサイド・サイドでは意味がない。中央を使わないと単調な攻撃にしかなり得ない。

 

また、一度WGに預けて・・・をやるなら「433で良い」の一言に尽きる。わざわざこんなことをやる必要性がない。

これでは中央にいる4人ないしは3人が完全に無駄になっている。

 

また、(動きのない、動きの固定化された)ポゼッションにかなり拘っており、動きが本当に無い。

 

現代サッカーの基本は、流動的に動いてスペースを作り、そのスペースを使って前を向いて攻撃、というのが基本であり、このように戦術でポジショニングを縛りすぎる、固めすぎるのは良くない。これではスペースを作れなく、前を向けないし、戦術で動き・ポジショニングを縛っているので、全く良い攻撃にならない。

 

SBやCBをボランチのようにするというのも、選手を見て、選手に合わせて行う、柔軟にやるから効果的なのであって、最初から決め打ちでやってしまってはそこまで意味がない。また、指示されたポジションを取ることに囚われすぎて、動きが無さすぎる。

 

セリエAの戦術、良い戦術は、選手によって変える、選手それぞれを活かす攻撃であり、このように自分のやりたい戦術に選手を当てはめて縛るやり方は良くない。

 

選手それぞれの能力に合わせて戦術でガチガチに縛るのは良いが(それでも裁量は十分に与えられるが)、最初から決め打ちの戦術で選手をそれに当てはめるのは良くない。

 

サイド攻撃だけしていれば何とかなるならこれでも構わないだろうが、セリエAはそうではないので、この戦術では厳しい。

 

選手に合わせてアレンジを加えたり、もっと選手に裁量を与えたり、戦術で縛ったポジショニングの中でももっと自由に動かせたりし、アクィラーニが成長して、やり方をどんどんアップデートしていけばやれなくもないとは思うが、この試合においては「酷い」としか言いようがない。

 

アクィラーニ監督に期待がないわけではなく、成長して、戦術もより研究して、良い監督になってほしいものである。

これをやるということは戦術の研究はしているのだろうから(他国の戦術ではなくイタリアの戦術を研究してほしいが)、今後に期待である。

 

ピサは、それでも、攻撃及び守備で前に人数をかけているため、ある程度攻めることができてはいるが、これでは守備がボロボロすぎる。

 

フロジノーネはアバウトにロングボールを入れてるだけでも大チャンスになる。

 

このように、ピサがノーガードの無謀な戦術を使用しているので、フロジノーネの真価が全く分からない。

 

試合展開は、フロジノーネが、ピサのサイドに預ける攻撃を無難に捌いて終わらせるか、密集した中央に預けたところを刈り取るかして、フロジノーネショートカウンターでチャンスを作るか、GKやCBからのアバウトなロングボールですら3対4や4対4になっているのでチャンスを作る。

 

ピサが自分たちで作っている意味のない中央の密集地帯でボールを奪われ、カーゾがGKと1対1になるが決められず。既に何度もあるパターン。

 

【30~45分】

 

この試合何度目か分からないくらいのパターンだが、カウンターで3対3になり、カーゾが決定機を迎えるが決められず。

ピサは本気でこれで勝とうと思っているのだろうか・・・

 

前半終了1-0

 

結果は1-0だが、ピサはフロジノーネの決定力の無さというか、個人能力の低さに救われた形。

 

フロジノーネは、相手が特殊すぎて判断が非常にしづらいが、あまり良いようには見えない。

非常にスタンダードな433で戦術自体は悪くはなさそうに見えるが、選手個々の能力に不安がある。

 

上手くいけば昨シーズンのレッチェのように、「特別良くはないが安定はしている」くらいにはなれるかもしれないが、このまま補強がないなら不安は大きい。残留争いで他に酷いチームが多いなら何とかなりそうでもあるし、全然駄目かもしれない。特殊な試合すぎて、この試合では判断がつかない。

 

【45~60分】

 

フロジノーネが変にポゼッションに拘り始めたので、上手く攻撃が行かず、ピサもショートカウンターでチャンスを作り始める。

フロジノーネは早目に前線に入れるか、放り込んでいるだけで大チャンスなため、変にポゼッションしなくて良いのだが・・・

 

ピサは前半以上にGKにビルドアップに参加させて、2CBと3バックを形成させる形をとるが、別に大して変わるわけではなく、グダグダなポゼッションをした後に結局放り込む。

放り込んでたほうが前半よりは大分マシ。

また、やりたい形のポゼッションではチャンスはほぼないが、ショートカウンターで戦術に縛られていない時はチャンスになる。

 

【60~75分】

 

フロジノーネ

ボレッリ→チュニ

カーゾ→クヴェルナーゼ

 

フロジノーネ

ハルイ→ブレシャニーニ

エス→ガッリターノ

 

【75~90分】

 

お互いグダグダなポゼッションをするが、カウンター、ショートカウンターではチャンスを作るという形。あまり動きはない。

 

試合終了1-0

 

相手が特殊すぎてフロジノーネの真価は分からなかったが、ここまで戦術がボロボロの相手に1点だけだったのは不安である。

 

昇格組のフロジノーネカリアリはだいぶ厳しそう。

ジェノアは問題ないと思われる。

 

フロジノーネは選手補強がないなら、このメンバーではまずまず厳しい。

カリアリも同様。

だからと言って、両チームとも監督や戦術が特別良いかと言われるとそうでもなく、厳しい戦いになりそうである。

 

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