カリアリ 監督 クラウディオ・ラニエリ
2023年8月21日
セリエA第1節
監督:ユリッチ ラニエリ
343
サナブリア
カラモー ヴラシッチ
ヴォイヴォダ イリッチ リッチ ベッラノヴァ
Rロドリゲス ボンジョルノ スフールス
ミリンコヴィッチ
ベッラノヴァのみ新加入。あとは昨シーズンの馴染みのメンバー。
343
オリスタニオ
ルヴンボ ナンデス
アッツィ マクンブー スレマナ ザッパ
オベルト ドッセーナ ゴルダニガ
ラドゥノヴィッチ
コッパ・イタリアでは442だったが、左SBアウジェッロ→ゴルダニガ、FWパヴォレッティ→ルヴンボで343に変える。
これは驚き。
ラニエリは442への拘りがあり、機能していなければ変えることもあるが、変えることが遅い監督のイメージが強かったが、すぐに変えてきた。しかも全く異なる別物の戦術。
343のミラーゲームを仕掛ける気だろう。面白い。
また、今後を考えても、コッパ・イタリアでは442で散々なサッカーをしていて、降格まっしぐらだったため、良い決断である。
442のままだったら、343対442、ユリッチ対ラニエリ、トリノホーム、戦力差があるということで、試合を見なくても結果は分かり切っていたが、343のミラーゲームなら分からない。
ラニエリは守備戦術はまずまず良いので、相手に合わせて上手く守って、攻撃は特攻すれば、442よりはまだ可能性がある。弱いことに変わりはないだろうが。
トリノの主な新加入選手は、右WBのベッラノヴァ、CHのタメーゼ等。
主な退団は、右シャドーのミランチュク、左シャドーのS・ヴェルディ、右WBのシンゴ等。
後ろと中盤はほぼ変わっていないが、エースのミランチュクの移籍(レンタルバック)が痛い。トリノで唯一と言って良い、違いを作れるテクニックのある選手だったので、ヴラシッチやカラモーはいるが、両方ともスピードタイプなので、テクニックがあって違いを生み出せるミランチュクの退団は厳しい。
シンゴの移籍も痛いが、インテルからベッラノヴァを貰えたので、大丈夫か。
鉄壁を誇ったCB陣、まずまずの中盤が全員残っており、優秀なユリッチ監督なので、大崩れはないとは思うが。
ミランチュクがいたとしても物足りなかった前線に誰かはほしい。
エラスでエースだったシャドーのシモーネ・ヴェルディがレンタルバックで戻ってきていたが、放出してしまった(この試合はまだベンチにいる)。
ヴェルディを残さなかったのは失敗だと思うが。(31歳という年齢も考えての判断か?)
カリアリは、スクフェット、アウジェッロ、スレマナ、ヤンクト、ショムロドフ、オリスタニオ等を補強している。セリエAを戦う補強はできていないと言える。
【0~15分】
トリノのユリッチ監督が「何だこれは、聞いてた話と全然違うぞ」というような仕草と苦笑いを見せる(おそらく)。カリアリが全然違う戦術を取ってきているため、そうなるのも無理はない。
プレシーズンやコッパ・イタリアを見て(これは余裕だろうと)スカウティングしているだろうから、これは驚く。
442と343はあまりにも戦術が違いすぎる。
(442のライン守備と、343のハイラインハイプレス。全く違う。攻撃も全く違う。442でグダグダのサイドからのクロス攻撃と、ひたすら前線に早めに早めに入れてくる特攻戦術ではまるで違う。)
442の相手を343で崩すのは簡単だが、343のミラーゲームでハイプレッシングをされると、かなり厳しいし、全く違う。本当に別物。完全にプランが狂う。
カリアリは、予想通り343のミラーゲームで、がっぷり四つに組み合ってハイラインハイプレス。素晴らしい判断である。
3分、コーナーからのチャンスはラドゥノヴィッチがスーパーセーブ。
コッパ・イタリアからスーパーセーブを連発している。
カリアリの攻撃については、これも(ほぼ)予想通りの前に前にアバウトにボールを入れていって力押しする攻撃。この戦力なら442よりも断然良い。
(素晴らしいとは言っても、元の442があまりにも酷すぎることと、442に拘りのあるラニエリだから褒めているだけで、このチームが強いわけではないし、元が酷すぎるだけである)
ただ、特攻ではなく、前に人数はあまりかけない、裏に蹴りまくるリスク管理徹底の縦ポンサッカーなので、良くはない。そこまで良くはないが、割り切っているし、442でグダグダ攻めるよりは良い。
トリノはミドルブロック&プレスでポゼッション。
カリアリが完全に勢いで押し込む。
トリノは、一人一人は上手くないが、343の特性を活かして、ショートパスで丁寧に繋ぎながら全体を押し上げて、前に前に行くサッカー。
343で一番厳しいのが、ミラーゲームでハイプレッシングをされること。
がっつり組み合うので、マンマークでハイプレスをかけられると、後ろから丁寧に組み立てるチームは厳しい(上手い選手が揃っているなら躱せるが、トリノはそうではない)。
想定していた(であろう)惨状の442とはまるで違うので、面食らって混乱しているトリノと、勢いに任せてショートカウンターでどんどん前にボールを入れていき、トリノは攻守において混乱している。
勢いで完全に負けている。
ただし、慣れてくれば、戦力でも戦術の完成度でも大きく勝るトリノが優位か。
幸いなことにトリノはCB陣が強力なので、踏ん張る。
14分、ショートカウンターからナンデスの完璧なコースのシュートはミリンコヴィッチがスーパーセーブ。こんなの202cmのミリンコヴィッチ以外で届くGKはいない。
蹴ってる側からしたらそこしかない完璧なコースなので、トラウマレベルのスーパーセーブ。
カリアリは、元の442が惨状だっただけに、343のミラーゲームでハイプレッシングという良い守備戦術と、完全に割り切って縦ポンしていることは非常に好感が持てる。「対トリノの戦術においては」であり、カリアリが弱いことに変わりはないだろうが。相手がトリノだから通用しているが、この先カリアリはこれでどうやって戦うつもりなのか、相当厳しい。
【15~30分】
トリノはどんどん中盤でボールを失う。
前線で起点になれた、テクニックのあるミランチュクが退団したのは痛い。
【30~45分】
トリノはクーリングブレイクもはさみ、カリアリの戦術に慣れてくる。
両チームとも前線に決定的に個人能力が高い選手がいないので、攻めあぐねる。
前半終了。0-0
カリアリが全く違う戦術を取ってきたので楽しめたが、「元々この戦術」だったとしたら、退屈極まりない試合と言って差し支えない。
両チームともに前線に個人能力が無さすぎて、崩していない単発のチャンスしかない(カリアリは元々割り切ってそういう戦術だが)。
カリアリは選手個々の能力が低すぎるので、これをやり続けるしかない。
トリノは、(この後移籍するが)ボールを運べる、ドリブルで崩せるヴェルディを出したほうが良いか。
ヴェルディも移籍してしまったなら、前線に誰か補強しないと厳しい。
【45~60分】
カラモー→ラドニッチ
良くはなかったので。しかし、ラドニッチではそこまで変わるとは思えない。
ゴルダニガ→ディ・パルド
カリアリはやることを変えない。
トリノも大きくは変えず。
お互いベンチに有用な選手はいなく、両チームとも守備は良いが、攻撃は良くないので、膠着した状態。泥仕合とも言う。
トリノは、カリアリの縦ポンはもう分かったので、守備は裏警戒で対処する。
攻撃も不用意に失ってショートカウンターを受けないように、嵌められたら前に蹴る。
攻撃面については消極的な対策ではあるが、前半の大混乱よりはマシ。
また、カリアリが前からプレスに来ているので、後ろは少なくなっているので、嵌った時に前に蹴った際に、収めるか裏に抜けられればチャンスになる。
ほとんどのチームが細かい崩しやカウンターで崩すセリエAにおいては珍しい、かなり蹴りあう試合。泥仕合。
【60~75分】
オリスタニオ→ヤンクト
ルヴンボ→ショムロドフ
縦ポンとプレスで疲労困憊だった前線を変えた形。
ヴラシッチ→ペッレグリ
リッチ→リネッティ
試合展開は変わらず、カリアリはボールを奪ったらひたすらDFラインの裏に蹴る。ここまで徹底すると本当に清々しい。
トリノは繋ごうとはするが、カリアリの完全ミラーのハイプレスに対処できなく、結局蹴る。
ナンデス→パヴォレッティ
Rロドリゲス→ジマ
【75~90分】
サナブリア→Sヴェルディ
オベルト→デイオラ
試合に動きはほとんどない。
試合終了
守備陣と中盤はほぼ全員残っているので、安定している。安定してはいるが、攻撃面がやはり心配。
カリアリは、この試合の守備戦術は良かったが、攻撃については、セリエAでこれをやってどうやって点を取るつもりなのだろうか。惨状だった442よりは守備は断然良かったし、攻撃もまだマシだが、かなり厳しい戦いが予想される。